先日DOMANE AL 2 Gen3 を購入したのですが、走ってみると以下の点について不満が出てきました。
- ブレーキの効きが少し甘く、重く感じる
- 下ハンドルポジションでのブレーキングは十分出来るが、ブラケットポジションでのブレーキが少し重く、効きも甘いと感じる。
- フロントインナーからアウターにシフトチェンジするとき、STIレバーを横方向に大きな力をかけてかつ大きく移動させないといけなかった。
- シフトレバーを5本指で握り込んでからでないとシフトチェンジが難しく、インナーからアウターへのシフトチェンジがストレスに感じた
- 2x8(50/34T 170mm, 11-32T) で、若干登りでもう少し低めのギアが欲しくなったのと、変速ショックを小さくしたかった(トップギアは特に不満などは無い)
ということで購入したばかりですがコンポをアップグレードすることにしました(すぐアップレグレードすることを前提に中古で購入したということもあるので、想定通りではある)。
アップグレードに際して、現在のトレンドや今後のアップグレードを鑑みた選択が必要になります。
今後のアップグレードする方向性を決定づけるかつ容易には変えられない選択としては以下があると考えます。
- 電動変速 or 機械式変速
- 油圧式ディスクブレーキ or 機械式ディスクブレーキ
- 12速化 or 11速化
まず電動変速にするか機械式変速にするかを迷いました。
前提として、トライアスロンで使用する場合電動化したほうが有利であるため、今後トライアスロンで使用すると仮定すると今回のアップグレードで電動化した方が良い、ということになります。
電動変速の場合、以下の4つが選択肢となりました。
105 Di2 は施工事例も豊富ですが、FD・RD・バッテリー間をケーブルで接続する必要があります。
バッテリーはフレームに内装することを想定しているため、Di2 対応外フレームの場合、防水シールをしたうえでフレーム外装をしたり、フレームにケーブルを這わせる必要があるため、DOMANE ALで施工すると少し不格好になると考えられます。
また、105 Di2 の場合トライアスロンでよく使用されるサテライトスイッチが対応していないということも考慮しておく必要があります。
ULTEGRA Di2 の場合は、サテライトスイッチも対応しており、軽量化やシフト速度のアップなどもありますが、その分高価になります。
SRAM RIVAL eTap は FD・RDで電源も独立しているため一般的な外装フレームでも容易に取りけることが可能ですが、部品の入手性はシマノ製品と比べると劣り、交換パーツの単価などもシマノ製品と比べると高い傾向にあり、変速速度もDi2 に比べると劣ると聞き及んでいます。
WheelTop EDS は SRAMと同様に FD・RDについて電源が独立しておりフレームへの取付も容易で、クランク・スプロケット・ブレーキの自由度が高く、ほぼ好きなクランク・スプロケット・ブレーキを選択できますが、変速速度は Di2 や eTap に比べると劣り、ヘタってきたバッテリー交換が出来ず、ワイヤー引きモデルはリーチアジャスト機能がありません。
機械式変速の場合は、 現在のDURA-ACE(R9200)・アルテグラ(R8100)・は電動シフト専用になっているので、12速前提で考えると105(R7100)のみ選択肢があります。
機械式変速を前提とした場合の油圧・機械式ディスクブレーキの選択については、105 12速(R7100)については、シマノからは油圧式ディスクブレーキのSTIレバーしかでていないため、シマノ以外のワイヤー引きレバーにする必要があります。この場合の選択肢として、EQUALコントロールレバーがあります。
それぞれの要素が絡み合っているかつ、一度選択してしまうと別の選択肢が取りづらくなる(場合によっては、コンポ総入れ替えが発生する) ということからこの選択はかなり悩みましたが、最終的に以下の構成にすることにしました
- EQUAL コントロールレバー
- EQUAL ブレーキ (機械式ディスクブレーキ)
- 105 12速 (R1200系)
まず、今のフレームでトライアスロン完全対応の電動変速(ULTEGRA Di2)にしようと思うと、少しチグハグな構成になる(トライアスロン完全対応するならカーボンにしたほうが良さそう)こと、そもそもトライアスロンに競技としてどれだけのめり込むのか未知数であること、電動変速だとバッテリー管理が必要になること、価格が高価になり盗難や紛失、落車を気にして気軽に乗りづらくなることから電動変速ではなく機械式変速にすることにしました。
また、出先でホイールを外した際に誤ってブレーキを引いてしまうというヒューマンエラーがいずれやってしまいそうなところ、EQUALブレーキは赤色のキャリパーを選択できるので、割とドレスアップ目的でボルトやナットなどを購入している自分として赤色を選択できるのが大きい、というところでEQUALブレーキを選択しました。
そして現在のトレンドが12速であり今後のパーツの入手性やアップグレードの余地なども考えると12速にしたほうがよいのではないか、ということで12速化することにしました。この選択により、レバーはEQUALコントロールレバーに決定されました。
EQUALコントロールレバーはフリクション方式で、現在の主流であるインデックス方式とは 別方式のレバーで、 よく クルマの ATとMTの違いに例えられます。
フリクション方式は自分の技量によりシフトを決めるというクルマの MT に似た楽しさがある、というレビューが散見されることから、クルマについてもあえてMTに乗っている自分なら、フリクション方式のレバーも楽しめるだろうと予想し、EQUAL コントロールレバーで問題ないだろうと判断しました。
このような判断からパーツを少しずつ揃えていきました。
R7100系の部品についてはAmazonにも在庫が潤沢にあり、特に苦労することはありませんでしたが、 EQUALブレーキと EQUALコントロールレバーについては 在庫が潤沢にあるというわけではなく、個人経営のネットショップなどから入手しました。
苦労したポイント
組付けは土日ぐらいの作業量で終わるかと思っていたのですが、必要な工具(クランク抜き・BB抜き) が足りず Amazonで買い足したり、後述の フロントディレイラー破壊・チェーン切断の失敗からの部品買い足しなどで結局2周間ほどかかってしまいました。
ロードバイク初心者なので各工程で毎回手こずりましたが、大きく苦労したところとしては以下のとおりです。
ワイヤリング
DOMANE AL 2 Gen 3 はダウンチューブが内装なので、チューブ内の配線に苦労しました。
内装であることから交換するときも一度に全部取り外すということはせず、まずアウターケーブルを交換してからインナー交換をする(またはその逆) をするということをしていましたが、ワイヤリングにてこずってワイヤーの端子がチューブ内に入ってしまい、ケーブル端をチューブ内から出すことに手こずりました。
また、アウターワイヤーの長さの調整も思っていたより大分シビアで、5cm程度長いだけで、大きく張り出してしまい、場合によってはハンドルなどにひっかかり危ないということがあり、合計で3回程度アウターを短くする調整をしたように思います。
EQUALブレーキは専用のアウターケーブルがあり、これは硬いアウターケーブルと比較柔らかいアウターケーブルを組み合わせて使うもので、長さ調整に失敗するとハンドルが極度に固くなってしまったりと、この特殊さもワイヤリングを難しくしていたように思います。
スクエアテーパーのBB抜き
最初に買った安い工具 では力をなかなかいれることが出来ず、何回か失敗してトルクをかける部分の舐めが大きくなり始めました。 これ以上削るとまずいということで作業を一時中断して、Amazonで評価の高いスクエアテーパー専用の固定が出来るBB抜きを購入しました。
この工具を使うことで今まで手こずっていたのが嘘のように簡単にBBを外すことが出来ました。
クランクの取付・フロントディレイラー調整
取り付けたクランクの押し込みが足りず、また押し込みが足りないことになかなか気づけず、クランクの右側が規定より張り出した状態でフロントディレイラーを調整したため、フロントディレイラーの可能な調整量を超えて調整ボルトを緩めてしまったため、調整ボルトが元の位置に戻せなくなってしまいました(このあたりロードバイクに慣れている人が見れば右側のクランクの押し込みが足りないことに早期に気づけただろうが、慣れていないので気付けなかった)。
チェーンの取付
以前チェーンの交換工具を購入していたのでそれを使用したが、工具が少し歪んでいるのか、切断するときにチェーンが若干歪むという問題がありました。
この問題を解決するために、シマノ謹製の5000円ほどの12速対応チェーンカッターを購入しました。
専用工具は高価だが、謹製のチェーンカッターは少ない力できれいにチェーンを切断できました。
また切断の際に、切断するリンクの位置を間違えてしまい(チェーンリングが端子側に来るように切断しなければならないが、そうしなかったことで想定より短く切ってしまった)、チェーンを買い直して作業したり、チェーンをリアディレイラーのガイド外に通してしまったまま試走してしまったりと、何箇所か手こずってしまった。
一応作業前にディーラーマニュアルを読んでいたが、作業中は読んでおらず、記憶に頼って作業してたため、このようなミスが発生してしまった。
アップグレードした感想
- EQUALブレーキは引きが軽くなって制動力も強くなったので、急坂の恐怖感が減り速度が出しやすくなった。ブラケットポジションでも十分な制動力が得られるようになった。ブレーキパッドが減ってくるたびに調整は必要なので、このあたりが煩雑に感じられるかそうでないかは今後の走行距離とかにもよりそうだけど、六角レンチさえあれば数分でさっと調整出来るので、特に面倒とは感じないのではないかと予想している
- EQUALレバーは、今のところ自分にあっていると感じる。ちょっと練習しただけでシフトミスはほぼなくなったし、インデックス方式のシビアなインデックス調整から開放されるメリットも大きい。また、インデックス方式でも結局トリム操作はするので、フリクションが特別に煩雑とは感じない。想定していなかったメリットとして、インデックス方式だとインデックスの地点まで一度で引かないといけないが、フリクション方式だと小刻みにレバーを何回か動かすことでシフトさせることが出来る。フロントのインナーからアウターに入れる時、STIレバーを横方向に大きな力を入れないといけないことが割とストレスだったので、このメリットは大きい。
- 12速化したことでシフトでのショックが少なくなった&無段階で変速できるので割と感覚的なシフト操作が出来る(クルマ的に言うと、飛ばしシフトしやすい)
- 105にしたことで軽量化が効いていそうなのと、メンテナンス性が向上した。ディレイラーが調整しやすくなったし、リアディレイラーのアウターケーブルがほぼ可動しなくなったので、可動することを考慮してアウター取り回しをする必要がなくなったりなど。
- あまり正確な値ではないが、作業前が10.5kg ほどで作業後 に 9.5kg 程度になっていたので、1kgほどの軽量化が出来た。走ってみると明らかに走り出しが軽くなっていた。
- ちゃんとした工具を使うことで早く・確実に・安全に作業が出来、パーツの買い直しリスクも抑えられる。今後工具を買うことがあればある程度大きな出費は覚悟して良い工具を買おうと思った。
- 工賃・ かかった時間・買い足した工具・失敗して買い直した部品などを考慮すると、圧倒的にショップに依頼したほうが安いし確実だと思うが、元々色々カスタマイズしたいということで中古のDOMANEを購入しているし、今回バラ完に近いことが出来て今後のカスタマイズの自由度も上がったので、総合的にとても満足している
とりあえずこれで機材的な面でかなり充実したので、あとは走り込むだけですね。
最後にカスタム後の写真を添付しておきます。今後も大事にそしてヘビーに使っていきたいところです。