水島雄太のブログ

個人的かつ雑多なブログです。

ラップ口座入門を読んだ

はじめに

このラップ口座入門は発売されたばかりであるが、仕事で推薦図書になっており、必要なドメイン知識を身につけるのにちょうど良さそうと思ったこともあるので、この機会に読むことにした。 分量自体はそれほど多くなく、数日で読むことができたので、学習したことのまとめや感想などを残しておくことで記憶の定着を図る。

勉強になったこと

  • 有価証券の売買によって手数料収入を得るコミッション型営業から預かり資産がくに応じて手数料を得るフィー型営業への転換が進んだ
    • コミッション型営業だと無駄な回転売買誘導さていないか?みたいなことは個人的に気になるので、フィー型の商品のほうが信頼しやすい
      • 金融商品取引法(要引用)でそのあたりが禁止されているのも、過去に利益相反になるような事例があったからではないか?
  • 投資一任口座≒ラップ口座
    • 厳密には違うようだが、本書では明確に区別せずに使っている
  • ラップ口座のラップは「食べ物を包む薄いフィルム」と同じ
  • 投資一任は何もかもおまかせではなく、一定以上のルール(投資してよい資産や投資上限など)のもとで一任するもの
  • 景気の波(景気サイクル、景気循環
  • バランス型投資信託とラップの違い
    • 投資一任サービスは以下の流れ
      1. 運用目的、投資方針の確認
      2. 運用モデル、運用プランの選択
      3. 資産管理・運用、リバランス
      4. 運用状況の定期的なレビュー
    • 投資信託は 運用ツール(ビークル)で 3. に該当する
    • 1~4のプロセスを継続的に提供するならバランス型投資信託でも代替できない
  • 現代ポートフォリオ理論
    • 平たく言うと、「リターンは合理的にリスクを取ることで得られる」
  • 行動ファイナンス
    • 金融に関する判断や資産管理において人はどのように考える傾向があるかなどを扱う理論
    • 行動ファイナンスを実務に落とし込んだものがゴールベース資産管理
  • 効率的フロンティア
  • ノーベル財団の運用資産は約650億円毎年の運営費が十数億円
    • 毎年2%の利回りで運用するのは結構たいへんそう
    • 目標として、インフレ調整後で少なとも3%
  • アメリカの大学はやばいぐらいの資産を運用している
  • 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用資産は186兆円
  • 米国の投資一任残高は9.2兆ドル(1000兆円ほど)
  • 米国では1990年代から個人での投資一任契約が広まってきた
  • ゴールベース資産管理とは顧客ごとに違うゴールに合わせて、リターンの水準を考えていくもの
  • 目的毎に口座を分けることをメンタルアカウンティングという
    • クルマの積立で別口座にわけたりなど
  • アドヒアランスとは、固着、支持、遵守という意味
    • 医者の投薬指示をどうやって継続してもらうかとか
    • 投資も同じように行動ファイナンスの観点から顧客に投資行動をして貰う必要がある
  • アドバイザーの付加価値は行動コーチン
  • 目先のことにとらわれて合理的な行動を取らない投資行動をダルバー効果という
  • ブラック・ショールズ方程式
  • 過去を振り返ると、世界の人口が増加することで、世界のGDPは成長し、結果として世界の時価総額が拡大してきた
    • 逆に言うと人口が減ると、時価総額は減っていく?

自分の中での感想

  • 投資一任契約の金融商品が最近日本でも増えてきた理由がわかった
    • おそらく米国での浸透に合わせて、遅れて日本でも浸透してきた
      • 日本で浸透するものはたいてい米国で浸透したものが遅れてきたもの
    • 今までのコミッション営業よりフィー型営業のほうが顧客と営業が利益を共有出来る
  • アメリカの大学の運用規模がやばい
    • 日本も研究活動においてそのぐらいの投資活動をやったほうがよいのでは?
    • 結局資金があるところに優秀な研究者は集まる