概要
かいつまんで説明すると、元伊藤忠商事社長が、読書の有意性を説いた本。
主に読書の効能、読書する際に意識することについての記述が多い。
納得できる部分と納得できない部分があり、例えば、読みながら考えないと身につかないなどは納得できる一方で、仕事の姿勢を読書が正す、他人の失敗談は役に立たない、などは納得できなかった。
この本は客観的なデータを元に読書の効能を述べた本ではないので、全ての論拠は著者の経験と主観に基づくものである。
もちろん同意できる部分もあるが、著者の伊藤忠商事に一生勤めた経験と主観に基づく論説が多く、そのような体験を経ていない読者にとっては、データが示されないとなかなか納得できない。
例えば、読書が知性を磨く一方で、ネットの情報は磨かないという論説があるが、ネットの情報もちゃんと文脈を捉えて把握すれば有用なものであり、その辺りの補足がないままではネットの情報が一方的に悪であるかのような印象を持ってしまう読者もいるのではないか。
本の性質として求められるべきものではないのかもしれないが、このあたりもう少し客観的なデータがあれば、もっと説得力のある話の展開もできたのではないかと思う。
批判してしまったが、全体的には同意できる部分が多く、読書に対する意欲も昂進したので、読書に対するモチベーションを高めたい人には良いのではないだろうか。