はじめに
最近ナイフにハマったが、ナイフに付属するシースに対して、しっくり来なかったり、安全性に問題を感じたことから、シースの自作やカスタムをしたくなった。
ナイフのシースは主に以下の3つに大別される。
- 一体成型樹脂
- カイデックス(二枚の熱可塑性の合成樹脂板を熱で溶着)
- レザー
一体成型樹脂は金型が必要なため安価で大量生産するものにしか採用されていない。
カイデックスは個人でも自作できないことはないが、自作するにはある程度の設備が必要だ。
3Dプリンターなどを使って自作することも不可能ではないが、強度的な意味では不安が残る。
ということで必然的に、自作するならレザーということになる。
レザークラフトについては少し調べてみたところ、それほど初期投資が必要無いようだった。
AmazonなどのECサイトでは安い工具セットが3000円程度で売られているし、共進エル・クラフト社などの有名メーカー品のものを単体でそろえたとしても必要最低限なら5000円程度で入手できる。
レザーの価格については革の種類・品質・特性に基づいて割とピンキリだったが、A4用紙サイズで1500円程度が一般的な相場なようで、それほど高いわけでも無い。
初期投資がそれほど大きくないならまずやってみるというのが私の信条なので、やってみることにした
最初に買ったもの
買った工具は以下の通り。
菱目を打った上での手縫い、ジャンパーホックの取付、仕上げに必要な工具のみを揃えた。
レザークラフト金具のジャンパーホック / 大 / #7050 / 頭なしの三点セット (全2色)
レザークラフト金具のジャンパーホック / 大 / #7050 / 直径15mm (全4色)
レザークラフト皮革の【30cm幅切り革】牛ヌメ革 / 栃木レザー / すっぴん (ナチュラル)
レザークラフト用品のZEBRA / ロウビキナイロン糸045 / φ0.45mm / 30m (全24色)
https://leathermania.jp/view/item/000000015996
刃物のシースを作りたかったので、2mm厚の牛革とライナー用に3mmの牛革を購入した。
工具で6000円程度、牛革で3000円程度と、1万以内で材料を含めて必要なものを揃えることができたので、趣味としてはかなり安く始められる部類だと思う。
自分は赤・黒・白に思い入れがあり、黒のレザーと赤いロウ糸で若干の出費の上振れがあったが、特にこだわりがない人はもっと安く始められと思う。
事前学習
自分は初めて何かをやるときに、とりあえず始めてみて問題が生じてから対策を考えるという方針で物事に取り組むことが多いが、レザークラフトの場合は一度レザーを切ってしまうとリカバリーが難しいということがなんとなく想像出来たので、ある程度予習してから取り組むことにした。
自分が主に参考にしたのは、 下記のサイト
型紙を作って型紙ベースで試行錯誤すれば大きな失敗はなさそう、ということがわかったので、ざっくりとした調査だけにして、型紙作成に取り掛かる。
ナイフのシースを作るのが目的だったが、いきなりナイフのシースを作って失敗するとレザーが勿体ないので、レザーをそれほど使用しない小さな小物から作り、徐々に大きな面積を必要とするものを作ることにした
作ったもの
鉄鋏のシース



小さく作りすぎて、ナイフをシースに収めた時に窮屈過ぎると思ったが、革がある程度伸びて、最終的に丁度よいホールド感になったと思う。
致命的な失敗として、垂直に菱目打ちが出来かったことと、端に近いところで売ってしまったため、一部革の側面に菱目が通ってしまったことだ。
そのまま手縫いしてしまったが、菱目を打ち直してから手縫いをやり直したほうがよかったかもしれない。
エルドリスのシースストッパー



大きな失敗は無かったが、ジャンパーホックは垂直に打てなくて、若干歪んでしまったように思う。
一見表からそれはわからないし、内部のシースが脱落するかもしれないという不安が払しょくされてかなり実用的な一品になったかこともおり、割と気に入っている。
ナタのシース


ライナーが5mm厚なので、菱目は割と深く打たないといけないというところと、シースの側面は5mm厚のライナーと2mm厚のレザー2枚が重ねられており、3枚をまっすぐに揃えるのが難しかったように思う。
またトコノールがちゃんと乾く前にコバ磨きを始めてしまったためか、側面が黒ずんでしまったのも若干の失敗だった。
ジャンパーホックも若干歪んで打ってしまった。ジャンパーホックを垂直に打つのは割と難しいのかもしれない。
それ以外は特に大きな失敗なかったように思う。
付属のシースは本当におまけ程度の質感の低いものだったし、自分の今のユースケースだとベルトループは不要だったので、より質感の高い、不要なものを削ぎ落としたシースにすることが出来た。
シースを質感の高いものにすると本体のナタの愛着とが上がるのも不思議なものです。
イヤホンケース


今までイヤホンはポケットに無造作に入れていたが、イヤーピースを紛失することがあり、またカラビナなどでベルトやリュックに肩紐に掛けておきたい、ということから自作することにした。
1m厚のレザーを3枚重ねてレザーの固定も兼ねてジャンパーホックを打とうとしたが手持ちのジャンパーホックだと深さが足りなかったため、これのために深型のジャンパーホックを追加で購入した。
単純な構造だし、型紙もつくらずに作業に取り掛かったが、特に大きな失敗もなく作業を完了できた。
強いて言うなら、縫目をもうちょっと綺麗に仕上げたいが、今のところそれをどうやるか検討が付いていない。 また折を見て綺麗な手縫いの方法を調べてみようと思う。
対策したいこと
一番のネックは騒音だ。
目を打つときとジャンパーフックを取り付ける穴を開ける際に、打痕の音が発生するのだが、これがものすごくうるさい。
音もそうだが、当然打痕した際の振動が周囲にも伝わっているはずなので、近所迷惑にはなっていそうではある。
実際にどのような隣の家に漏れているのかはわからないが、毎回打痕するたびに、隣から怒鳴り込まられるかもしれない、と思いながら作業をするのは結構なストレスである。
正直このストレスが続くようなら、レザークラフトは続けられない気がする。
とりあえず日中にベランダででやるようにしたら、少なくとも自分の精神的な負担は減った。
レザークラフト用のパンチャーなどもあるので、これを使えばかなり騒音は軽減できるのでは無いかと思う。
パンチャーは目打ちのときに使用するものなので、ジャンパーフックの取り付けには使えないように思うが、ジャンパーホックの音の出ない取り付け方についても折を見て調べてみようと思う。
感想
率直な感想として、レザークラフトはとても面白い!
革は伸びるのである程度のアバウトさを許容しつつもより丁寧に仕上げたほうが完成度も満足度も高い。
多少失敗しても一定以上の満足度は確保されるというところが、自分の本質的ないい加減さと特定の部分での神経質さともマッチしている趣味だと思った。
前述の通り趣味として継続するには騒音ががネックになる。
これは機材を買うことである程度緩和できるだろう。
一方で小物作りという特性上、必要なものを作りきったら作るものがなくなりそうというところと、もし必要なものを作りきっても満足しないなら一生作り続ける沼にハマる気もしていて、趣味として続けるならもうちょっと中庸な方が良いかも知れない、とも思う。
趣味としての初期投資はそれほど高い部類ではないと思うので、必要なものは適宜作っていこうと思った。